新人職員・記録を教える担当者へ
「食事は少なめ」「入浴を拒否」。この一言だけでは、そのときの様子が伝わりません。
短く分けると書きやすくなります。
入浴・食事・排泄・夜間など、6つの場面を例文で見ていきましょう。
例文はすべて当サイトが作成した架空例です。実際に見聞きした内容と、行った支援に書き換えてください。施設の日常の経過記録から一場面を抜き出した例で、必要な観察・介助をすべて載せたものではありません。
まずは、この順番で整理しましょう
- 見たこと・聞いたこと
様子、量、本人の言葉
- 職員がしたこと
支援、声かけ、報告
- その後の様子
確かめた時刻と反応
これは書き始めるための整理例です。施設で使う様式の欄に合わせ、記録者も分かるように残します。参考資料
安全確保と必要な連絡・対応を優先し、施設の緊急時の手順に従ってください。
① 入浴したくないと言われたとき

入浴拒否あり。
記入例・架空
10月28日 9:30
入浴の声かけに「今は寒いから入りたくない」と話す。希望を尋ねると「午後にしたい」と返答。午前の入浴は行わず、9:35に日勤リーダーBへ本人の希望を報告した。
13:30 追記
再度希望を確認すると「今なら入りたい」と話す。本人の希望を確認したうえで、予定していた入浴介助を実施した。
午後への変更はこの架空例の対応です。入浴前の体調確認は別途必要です。確認結果を所定の欄に残し、入浴の可否や変更方法は、本人の状態・希望、ケア計画、施設の手順に合わせて判断します。
② 食事を残したとき

食欲なし。少し食べた。
記入例・架空
10月28日 12:25
昼食は主食を約半分、副食を約3分の1摂取。本人は「もうお腹いっぱい」と話す。食事を終える希望を確認して下膳した。12:30、摂取量と本人の言葉を日勤リーダーBへ報告した。
主食は約半分
「お腹いっぱい」
希望を確認して下膳・報告
量の単位・割合は施設の記入方法に合わせます。水分量や、服薬がある場合の実施状況など、施設で必要な項目も所定の欄へ記録します。この例から、食べられない理由や必要な対応を判断することはできません。
③ トイレで介助したとき
記入例・架空
10月28日 14:10
本人から「トイレに行きたい」と呼出しあり。トイレまで付き添い、ズボンの上げ下げを介助した。便器内に排尿を確認した。終了後は居室まで付き添った。
後始末で行った介助や、排泄物の性状など、施設で必要な項目も確認した範囲で残します。量を測っていなければ、数値を作って書きません。
本人から聞いただけなら、「本人より『排便があった』と申告」のように情報源を示します。
④ 夜間に「眠れない」と話されたとき

一晩中眠れず。
記入例・架空
10月28日 23:10
訪室時、椅子に座っている。本人より「まだ眠れない。少し話したい」との発言あり。本人の話を聞いた。23:20に「横になってみる」と話し、ベッドへ移る様子を見守った。
10月29日 0:00
巡視時、ベッド上で目を閉じて横になっている様子を確認した。
巡視の間隔や対応を指定する例ではありません。必要な報告・観察は施設の手順と本人の状態に合わせて行います。
⑤ 活動に参加したとき
記入例・架空
10月28日 15:00
歌の活動に参加。歌詞カードを手渡すと、自分で持って2曲歌う。終了後、笑顔で「この歌、好きなの」と話した。
困ったことだけでなく、本人ができたことや好みも残すと、次の支援を考える材料になります。
⑥ 家族から話を聞いたとき
記入例・架空
10月28日 16:00
面会した長女より「昨日の電話では、よく眠れたと言っていました」と話あり。16:10、長女から聞いた内容として日勤リーダーBへ共有した。
書く前・書いた後の3つの確認
- 確認した内容?
例文の量・時刻・発言を、そのまま使っていない。 - 事実と考えを分けた?
職員の判断を書くときは、根拠とともに判断の欄などへ。 - 対応の続きが分かる?
必要な報告先・時刻、未確認事項、次に確認する担当を残した。
「拒否」「不穏」などを一律の禁止語として覚えるより、実際の行動や発言を具体的に残しましょう。診断を受けていない病名を、職員の推測で確定したように書くことは避けます。
空欄のひな形を見る・コピーする
施設の正式な記録先へ、必要な項目を移して使います。
【利用者・記録者】 【出来事の日付・時刻】 【見たこと/本人・家族から聞いたこと】 【行った支援・声かけ】 【報告先・報告時刻・共有内容】 【その後に確認した時刻・様子】 【未確認のこと・次の対応と担当】
まだ確認できていない結果は、空想で埋めません。追記するときは出来事の時刻と記入時刻を区別し、施設の訂正・追記の手順に従ってください。
参考資料と、この記事の範囲
日本能率協会総合研究所「介護事業所・介護施設における項目形式の介護記録法の導入マニュアル」(2021年3月、令和2年度老人保健健康増進等事業)の本文7〜8頁を参照しました。
同資料は、本人の意向や状態、行った介護と反応を記録に含め、事実と職員の判断を分けて整理する考え方を示しています。
資料確認:2026年10月28日。例文と図は当サイトの説明用に作成したもので、原典の事例の転載や法定様式ではありません。個別の医療判断、事故報告書、施設種別ごとの保存義務を扱うものではなく、専門家監修済みの記事ではありません。
次の勤務者へ対応を引き継ぐときは、申し送りの書き方と確認表も参考にしてください。
