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特養入所事例 家族崩壊

家族崩壊 えっちゃんのブログ
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デイサービス職員から電話があったのは寒い冬の朝の出来事だった。

神田よね子さん(仮名)のデイサービス送迎でお迎えにあがったところ、主たる介護者である素子さん(仮名)が室内で倒れていたのである。

職員は救命措置を行なうとともに、救急車を依頼し、救急搬送することになった。
救急車が到着するまで、運転手はよね子さんの保護と車内に同乗している利用者の安全確保に努め、応援の職員が到着するのを待った。

よね子さんの担当ケアマネージャーに連絡をし、事の顛末を伝え、現場に出向いて頂くよう依頼した。

倒れてしまった介護者

意識のない素子さんは、最寄りの救急救命センターへ搬送された。糖尿病腎症だった。
人工透析が必要なほどに悪化しており、長期入院が必要であった。
よね子さんは、介護者の確保が出来ないために、緊急ショートステイを利用することになったのだ。

家族構成
よね子さん(仮名 82歳:認知症Ⅱa・地方公務員年金受給者 月額約22万円)
素子さん(仮名 55歳:パート職員 給与所得 約18万円)
弘明さん(仮名 28歳:ひきこもり)

よね子さんは、140センチ位の小柄な痩せた女性である。

普段、週三回のデイサービスを利用していたよね子さんは、職員の中でも話題に上がるひとりだった。

たばこが一時も離せないニコチン依存症になっているのだ。
体内のニコチンが切れると、急にイライラしだし、周囲の人に暴言を吐くのだ。

よね子さんの場合、1日2箱(40本)は吸っていたと言います。この喫煙が認知症の原因ではないかと考えられます。

50~60歳時点の喫煙量と20年後の認知症の発症は、喫煙量の増加によって伴って増え、1日11~40本で1.4倍、1日41本以上で2.1倍になると言われています。

素子さんも何度も止めさせようと禁煙外来に連れて行ったりしたが、認知症もあり、止めさせるのは困難を極め、家族も半ば諦めていたとのことでした。

家庭では、屋外でしかたばこを吸えないように、大きな空き缶と椅子が置いてあり、喫煙場所が決まっていましたが、軒先にしゃがんでは、何本も何本も吸っていたようです。

しかし、認知症が進行し、近所からの家事への不安からの苦情も多く出てきたことからデイサービスの利用を考えました。

デイサービス利用時も、たばことライターが欠かせず、喫煙室で職員と一緒にたばこを吸っていました。

ニコチン依存症のおばあちゃん

デイサービス事業所の選択は、施設に喫煙室があること。
デイサービス利用中も喫煙出来ることが、彼女にとってデイサービスを利用する条件でした。

最初は、頑としてデイサービスの利用を拒否したのだが、お試し利用で、素子さんと一緒に利用したのをきっかけに、たばこを吸えるのが分かってなのか、デイサービスを利用が開始となったのでした。

よね子さんは、中学を卒業後、理容師の夫となる方と知り合い素子さんを授かったが、素子さんが小学校にあがる頃、夫は、他の女性と駆け落ちし、失踪してしまったのだという。
よね子さんは、一人娘である素子さんを女でひとりで育てながら、小学校の用務員として働き、定年まで勤めあげた。

よね子さんのたばこは、素子さんが物心付いた頃から吸っていたという。かなりのヘビースモーカーだったらしい。

素子さんも25歳で嫁ぎ、一度は家を出たものの、長男を出産直後、生活の不一致で離婚し、よね子さんの元で一緒に暮らすようになりました。

よね子さんは、子育ての協力をしながら勤務し、退職後は家事を担い、素子さんが会社員となり働くようになった。

また、孫の弘明さんが、中学生のころに不登校となり、私立の高校に入学できたものの、素子さんとぶつかるようになり、高校も中退し、家に引きこもるようになっていました。

ひきこもり

さらに、家庭内暴力が始まり、仕事も短時間のパートに変えて対応していたが、最近では、昼夜逆転の生活となっていたという。

素子さんは、救急搬送から約2カ月間入院し、退院後も糖尿病腎症で週3回の人工透析の通院となった。

弘明さんは、ひきこもり支援センターに連絡し、対応してもらってはいるが、上手く機能していないようである。

素子さんの収入はなくなり、神田家は、よね子さんの年金収入だけとなった。

よね子さんの認知症の症状も進行し、素子さんや弘明さんのことを口にすることは無くなったという。
よね子さんは、特別養護老人ホームへの入所が決まり、職員が管理するたばこを職員と一緒に喫煙室で吸い続けているという。

元気だと思われた介護者の突然の病期や死・・・介護者の悩みや介護能力など総合的に判断する能力が必要だと思います。

今回のように、家族にひここもりの方も抱えているケースなどは、法律や医療、心理、就労等の多種職から編成されたチーム支援が必要と考えます。

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