身体拘束廃止に関する指針
身体拘束廃止に関する考え方
身体拘束は、利用者の生活の自由を制限することであり、利用者の尊厳ある生活を阻むものです。当施設では、利用者の尊厳と主体性を尊重し、拘束を安易に正当化することなく職員一人ひとりが身体的・精神的弊害を理解し、拘束廃止に向けた意識をもち、身体拘束をしないケアの実施に努めます。
介護保険指定基準の身体拘束禁止の規定
サービスの提供に当たっては、当該利用者または他の利用者等の生命又は身体を保護するためやむを得ない場合を除き、身体拘束その他の利用者の行動を制限する行為を禁止しています。
緊急やむを得ない場合の例外三原則
利用者個々の心身の状況を勘案し、疾病障害を理解した上で身体拘束を行わないケアの提供をすることが原則です。しかしながら、以下の3つの要素すべてを満たす状態にある場合は、必要最低限の身体拘束を行うことがあります。
切迫性
利用者本人又は他の利用者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと
非代替性
身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法が無いこと。
一時性
身体拘その他の行動制限が一時的なものであること
※身体拘束を行う場合には、以上3つの用件をすべて満たすことが必要です。
身体拘束廃止に向けての基本方針
身体拘束の原則禁止
当施設においては、原則として身体拘束及びその他の行動制限を禁止します。
やむを得ず身体拘束を行う場合
本人又は他の利用者の生命又は身体を保護するための措置として緊急やむを得ず身体拘束を行う場合は、身体拘束委員会を中心に十分に検討を行い、身体拘束による心身の損害よりも、拘束をしないリスクのほうが高い場合で、切迫性、非代替性、一時性の3つの要件すべてを満たした場合のみ、本人・家族への説明同意を得て行います。
また身体拘束を行った場合は、その状況についての経過記録の整備を行いできるだけ早期に拘束を介助すべく努力します。
日常ケアにおける留意事項
身体拘束を行う必要性を生じさせないために、日常的に以下のことに取り組みます。
①利用者主体の行動・尊厳ある生活に努めます。
②言葉や対応等で、利用者の精神的な自由を妨げないよう努めます。
③利用者の思いをくみとり、利用者の意向に沿ったサービスを提供し、多職種協働で個々に応じた丁寧な対応をします。
④利用者の安全を確保する観点から、利用者の自由(身体的・精神的)を安易に妨げるような行為は行いません。
⑤「やむを得ない」と拘束に準ずる行為を行っていないか、常に振り返りながら利用者に主体的な生活をしていただける様に努めます。
身体拘束廃止に向けた体制
身体拘束委員会の設置
当施設では、身体拘束の廃止に向けて身体拘束廃止委員会を設置します。
①設置目的
・施設内での身体拘束廃止に向けての状況把握及び改善についての検討
・身体拘束を実施せざるを得ない場合の検討及び手続き
・身体拘束を実施した場合の解除の検討
・身体拘束廃止に関する職員全体への指導
②身体拘束廃止委員会の構成員
委員長 ○○ ○○
副委員長 ○○ ○○
委 員 ○○ ○○
. ○○ ○○
. ○○ ○○
. ○○ ○○
. ○○ ○○
③身体拘束委員会開催
・3ヶ月に1回定期開催します。
・必要時は随時開催します。
やむを得ず身体拘束を行う場合の対応
本人又は他の利用者の生命又は身体を保護するための措置として緊急やむを得ず身体拘束を行わなければならない場合は、以下の手順に従って実施します。
〈介護保険指定基準において身体拘束禁止の対象となる具体的な行為〉
(1) 徘徊しないように、車椅子やイス・ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る (2) 転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る (3) 自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む (4) 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る (5) 点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむしらないように、趣旨の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。 (6) 車椅子・イスからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型拘束帯や腰ベルト、車椅子テーブルをつける (7) 立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する (8) 脱衣やオムツはずしを制限するために、介護衣(つなぎ服)を着せる (9) 他人への迷惑行動を防ぐために、ベッドなどに体幹や四肢を紐等で縛る (10) 行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる (11) 自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する |
カンファレンスの実施
緊急やむを得ない状況になった場合、身体拘束廃止委員会を中心として、各関係部署の代表が集まり、拘束による利用者の心身の損害や拘束をしない場合のリスクについて検討し、身体拘束を行うことを選択する前に①切迫性②非代替性③一時性の③要素のすべてを満たしているかどうかについて検討、確認します。
利用者本人や家族に対しての説明
身体拘束の内容・目的・理由・拘束時間又は時間帯・期間・場所・改善に向けた取り組み方法を詳細に説明し、充分な理解が得られるように努めます。
また、身体拘束の同意期限を超え、なお拘束を必要とする場合については、事前に契約者・家族等と行っている内容と方向性、利用者の状態などを確認説明し、同意を得たうえで実施します。
記録と再検討
法律上、身体拘束に関する記録は義務付けられており、専用の様式を用いてその様子・心身の状況・やむを得なかった理由などを記録する。身体拘束の早期解除に向けて、拘束の必要性や方法を逐次検討する。その記録は2年間保存、行政担当部局の指導監査が行われる際に提示できるようにする。
拘束の解除
③の記録と再検討の結果、身体拘束を継続する必要性がなくなった場合は、速やかに身体拘束を解除する。その場合には、契約者、家族に報告する。
身体拘束廃止に向けた各職種の役割り
身体拘束廃止のために、各職種の専門性に基づくアプローチから、チームケアを行うことを基本とし、それぞれ果たすべき役割りに責任を持って対応します。
(施設長)
1)身体拘束廃止委員会の総括管理
2)ケア現場における諸課題の総括管理
(医師)
1)医療行為への対応
2)看護職員との連携
(看護職員)
1)医師との連携
2)施設における医療行為の範囲の整備
3)重度化する利用者の状態観察
4)記録の整備
(生活相談員・介護支援専門員)
1)身体拘束廃止に向けた職員教育
2)医療機関、家族との連携調整
3)家族の意思に添ったケアの確立
4)施設のハード、ソフト面の改善
5)チームケアの確立
6)記録の整備
(栄養士)
1)経鼻・経管栄養から経口への取り組みとマネジメント
2)利用者の状態に応じた食事の工夫
(介護職員)
1)拘束がもたらす弊害を性格に確認する
2)利用者の尊厳を理解する
3)利用者の疾病、作用該当による行動特性の理解
4)利用者個々の心身の状態を把握し基本的ケアに努める
5)利用者とのコミュニケーションを充分にとる記録は正確かつ丁寧に記録する
身体拘束廃止・改善のための職員教育・研修
介護に携わるすべての従業員に対して、身体拘束廃止と人権を尊重したケアの励行を図り職員教育を行います。
①定期的な教育・研修(年2回)の実施
②新任者に対する身体拘束廃止・改善のための研修の実施
③その他必要な教育・研修の実施
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