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冬はヒートショックにご注意 ~ヒートショック予防法5選~

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冬はヒートショックにご注意

藤川多津子さん(85歳:仮名)は、2年前に夫に先立たれ、ひとり暮らしをしていました。
2年前までは、脳梗塞で寝たきりだった夫の介護をしながら生活されていました。
老々介護での生活は大変だろうと、周囲からは、施設入所も考えた方が良いとの助言もあったようだが、多津子さんは断ったと言います。
その背景には、二人の年金収入が国民年金しかなかったのではないかと思います。

多津子さんは農家の生まれ、お見合いで同じ農業をしていた藤川健三さん(仮名)と結婚しました。
藤川さん夫婦は子供に恵まれず、健三さんの妹夫婦の子供を養子にするという話もあったのだが、妹夫婦は養子を拒んだと言います。
多津子さんは、夫と共に農業に従事する傍ら、義父母の介護も担ってきました。
藤川さん宅は米農家でしたが、夫が脳梗塞で倒れてからは、農協に委託するようになり、夫が亡くなった後は、家の周囲にある畑で農作物を作り、生活していたと言います。

ある日、多津子さん宅に新聞がたまっているのを不審に思った近所の方が、声を掛けたが返答がなく、民生委員に連絡しました。
民生委員は警察に通報し、警察官二人が多津子さん宅へ入り確認すると、多津子さんは、浴槽内で変わり果てた姿で発見されたのです。
藤川さん夫婦には子供がなかったので、夫の死後、数か月に一度だけ訪ねてくる甥がいましたが、この時はしばらく連絡もとっていなかったと言います。
多津子さんは、死後1週間以上経過しており、体は腐乱していました。
原因は、「ヒートショック」だったと言われました。

毎年ヒートショックで亡くなる方は交通事故の4倍以上

実はヒートショックで1年間に亡くなる方は交通事故で亡くなる方の4倍以上ともいわれていますので注意が必要です。

「ヒートショック」は急な温度変化で血圧が上下に大きく変動し、意識がもうろうとした状態などになることです。
暖房がきいた部屋を出て、冷え切った洗面所で服を脱ぐ。震えながら慌てて熱い浴槽の中へ・・・。

誰もが経験することですが、体に大きな負担がかかっているのです。持病がない高齢者でも、いつ異変が起きるか分からない冬場の洗面所は室温が10度以下になることも珍しくなく、脱衣もあって血圧は急上昇し、それが湯船につかると血管が広がって急激に下がってしまいます。

朝晩の冷え込みが厳しく、今年は特にコロナ感染もあり、高齢者が暮らす環境も今まで以上に注意を払わなくてはいけなくなってきました。
中にはデイサービスやショートステイの利用が中止になって自宅で過ごされている高齢者もおられるのではないでしょうか。

高齢者が元気に過ごせるよう、家庭でも温度や湿度の調整に注意してもらいたいと思います。
高齢者にとって、室温と湿度の管理が大切なのは夏場だけではありません。外気温が低くなる冬場でも、温度変化が高齢者の健康への大敵になることがあります。急激な温度変化による健康被害は、極端な温度差により血圧が急激に変動し、脳梗塞や心筋梗塞などを起こしてしまうのです。

高齢になると、心機能が低下しますし、高血圧になる人も多いことから、ヒートショックのリスクが高まります。
ヒートショックが起きやすい場所とされているのが、家庭の浴室です。
入浴のために、暖かい部屋から寒い脱衣室に移動して服を脱ぎ、熱い浴槽につかるといった流れは、まさにヒートショックを起こしやすい行動パターンと言えます。

ヒートショックにはくれぐれもご注意を

多津子さんのように浴室でヒートショックを起こした場合、失神して、そのまま溺死してしまうこともあり得ます。
この他に、暖かい部屋から寒い廊下に出たときや、寒いトイレでいきんだときなどにもヒートショックが起きる可能性があります。

では、ヒートショックを予防するには、どうしたら良いのでしょうか?
まず、家の中の温度差をなくすことが大切です。つまり、居室だけでなく、廊下や浴室、トイレなど、できるだけ同じ室温に保つようにしましょう。

また、冬場は家の中を暖かくすることに気を取られがちですが、インフルエンザ予防の観点から、湿度の管理にも注意が必要です。

高齢者が無事に暮らしていくためには、夏・冬を通して室温と湿度の管理が重要です。
また、冬場には、居室の温度は15℃以上28℃以下、湿度は40%以上、浴室や洗面所、トイレなどは室温20℃以上に保つのがよいとされています。

ヒートショック予防法5選

1)脱衣所、浴室を暖房で温め、お湯の温度はぬるめ(41℃以下)に設定しましょう。

脱衣所や浴室は、暖房で暖かくしたほうが血圧の変動は少ないといわれています。
浴槽内に湯をためるときは、浴槽の蓋をしないで、浴室内が温まる工夫をしましょう。
浴槽のふたを開けておいたりすると寒暖差がなくなります。
シャワーを使って、高い位置から浴槽に湯をためると、浴室内が温まります。
高齢者が一人で入浴する場合は、時々声を掛けるようにしましょう。とくに高齢な方に対しては、5分おきに様子を見てあげましょう。

2)トイレを暖房で温め、暖房便座を活用しましょう

居室とトイレの温度差は「5度以内」が望ましいと言われています。自宅のトイレに暖房機能が設置されている場合は使用し、設備がない場合は暖房器具を活用して室温を上げましょう。
冷たい便座に触るとヒヤっとして、急激な血圧の変化を招きます。
特に高血圧の人などは、血圧が急変するリスクが高まるので危険です。
暖房便座がある場合は利用し、ない場合にはシートやカバーをかけるなど、お尻に便座の冷たさを直接伝えないようにしましょう。
夜中や明け方などにトイレを利用するときは、上着やガウンなどを羽織ったり、厚手の靴下やスリッパなどを履いて、冷気に肌が直接触れるのを防ぎましょう。

3)入浴前と入浴後には水分補給をしましょう。

体内の水分が失われると、血液が濃縮され、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなりますので、入浴前後は充分な水分を補給しましょう。

4)食後や飲酒後の入浴は控える

食後1時間以内と飲酒時は血圧が下がりやすいため、入浴は控えましょう。
入浴中も血管が拡張して血圧が下がります。飲酒後の入浴は、血圧が二重に下がりやすく危険な状態です。
飲酒後の入浴は、控えるようにしましょう。お酒を飲むなら入浴後にしましょう。

5)入浴前に血圧を測定しましょう

高齢者の場合、血圧が高くて体調が悪くても気付きにくいため、入浴前に血圧を測定することにより、体調を知る目安になります。
血圧が高いときは、入浴を控えるか、体が温まってからにしましょう。
室温が低くても血圧は上がります。温度の管理も一緒に行うとよいでしょう。

若くても油断は禁物
ヒートショックは、40歳代、50歳代といった高齢者以外でも起きています。
入浴関連死が深夜から早朝にかけて多いのは、発見者がいないことが大きいと思います。
一人暮らしの場合は、銭湯なども活用し、深夜や疲れているときは、浴槽につかる入浴は控えるようにしましょう。
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