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要介護度は介護認定審査会で審査・判定・・・認定調査が鍵!

認定調査 えっちゃんのブログ
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私は、某自治体の介護認定審査会を12年間務めて来ました。

1回の会議は原則5名の審査委員からなり、認定調査員の提出した調査票と主治医の意見書がこの会議にかけられて、介護の必要な程度(65歳未満の方は特定疾病に該当するかも併せて)が審査・判定されます。

審査委員の委員長は医師が務める場合が多いです。

一次判定では、要介護認定の申請をした方が、どのくらいの介護を必要としている状態であるかを確認するために、市町村が派遣する認定調査員が調査した結果をコンピュータに入力し、介護にかかる時間(要介護認定等基準時間)を算出したものを一次判定といいます。
このコンピュータによる一次判定と、認定調査の特記事項、主治医の意見書等を介護認定審査会で総合的に検討する二次判定を行い、要介護認定結果が決定されます。

要介護認定等基準時間とは、介護の必要度を介護にかかる時間(分単位)で表したもので、全国一律の基準によりコンピュータが自動的に算出します。
基準時間一覧表
 

主治医意見書は、要介護認定にあたって、主治医が「介護保険の利用が医学的に必要である」、と認め、医学的所見などを記載して市町村に提出する書類のことです。
要介護認定申請書には、かかりつけ医(主治医)の氏名・医療機関名・所在地・電話番号などを記載する欄があり、市町村から交付される主治医意見書の用紙を医療機関に持参して作成を依頼します。
また主治医意見書は要介護認定において重要な判定基準となるので、本人の状態をよく把握している医師に依頼することが望まれます。

要介護度は、介護の手間から、申請者の介護量を推定し、さらに、これを要介護認定等基準時間に変換するという構造となっています。
このため、統計的な推定になじまない、申請者固有の手間が特記事項や主治医意見書の記載内容から具体的に認められる場合は、必ずしも一次判定の結果に縛られずに要介護度の変更を認めることができるとされているのが二次判定(介護の手間にかかる審査判定)なのです。

したがって、一次判定を変更するにあたっては、変更の理由が、当該申請者に固有の情報に基づいているかを吟味しなければなりません。
このことから、一次判定の変更には、特記事項または主治医意見書に記載されている介護の手間を根拠とすることが必須の条件なのです。

介護認定審査会では、介護において認知症の特別な手間が発生しているかどうかを議論する場合、例えば、「ひどい物忘れによって、認知症のさまざまな周辺症状がある」、という行動があるという記載だけでは一次判定を覆すことは困難です
こういう情報に加えて、「認知症によって、排泄行為を適切に理解することができないため、家族が常に、排泄時に付き添い、あらゆる介助を行わなければならない」、といった具体的な対応としての「手間」、の記述があり、はじめて、特別な手間かどうかを判断する根拠が与えられるということで審査対象となります

排尿介助

例えば、排尿の「全介助」、を選択したとして、
オムツを使用しており、定時に交換を行っている(6回/日)場合とトイレで排尿しているが、排泄行為のすべての介助を行っており、強い介護抵抗があり、床に尿が飛び散るため毎回、排尿後に掃除をしている(6回/日)では、後者の方が同じ全介助でも手間がかかります。

食事介助の場合でも「全介助」、を選択した場合、
胃瘻増設により全介助となった場合と、呑み込みが悪く、直ぐにむせる為、少量ずつ30分かけて介助者がスプーンで食べさせている。これも後者の方が手間がかかります。

また、介護の手間にかかる頻度と内容も記載するうえで重要なポイントです。
認知症があり、一人で屋外へ出たがる場合の頻度と手間に付いては、
週1 回ほど、一人で玄関から自宅の外に出てしまうため、介護者は毎回のように探しに出ている。
ほぼ毎日、一人で玄関から自宅の外に出てしまうため、介護者は毎回のように探しに出ている。

移動について「介助されていない」、を選択していても介助がある場合
トイレまでの「移動」、(5 回程/日)など、通常は自力で介助なしで行っているが、脱衣所から浴室への移動は、介助を行っている。より頻回な状況から「介助されていない」、を選択し、特記事項で内容を記載するのが良いかと思います。

介助状況の詳細が欲しい

適正な審査判定には、介護の手間の増加や減少の根拠となる特記事項や主治医意見書の記述が介護認定審査会資料として記載され、残されていることが必要であり、また介護認定審査会委員は、二次判定に際して、介護の手間が根拠となったことを明示することが必須となります。

介護認定審査会の委員長は医師が行うケースが多く、委員長である医師の威圧感がある場合、他種職の意見が出しにくい雰囲気だと聞いたこともあります。
介護の手間については、介護福祉士や社会福祉士等の福祉専門職からの意見が重要だと思っています。
もし、介護認定審査会委員に選出された時には、是非、現場の経験者としての介護の手間を意見してほしいと思います。

いずれにせよ、要介護認定は利用者のサービス提供時間を決定する重要な審査です。
医師も含めて、各専門職がかかりつけ医の意見書や特記事項から介護の手間を読み取り、正しい判定結果が得られるよう努めて頂きたいと願ってます。

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