明けましておめでとうございます。
コロナ禍で初めて迎えるお正月です。
どこの施設でも施設利用者の殆どは一時帰宅も出来ず、面会すらできず、施設での年末年始を過ごすことになったのではないでしょうか?
今までは、施設側も入所者の面会や一時帰宅は、家族とのつながりや活動性の低下を防ぐ点で重要視していましたが、コロナ感染拡大が続く中、慎重にならざるを得ない状況になったのです。
施設での生活相談員時代、忘れることが出来ない年末年始があります。
2009年、インフルエンザが大流行した年です。
現在のように厳戒態勢ではありませんが、この時も面会制限を行った記憶があります。
特別養護老人ホームの入所者の40%、職員の20%がインフルエンザに罹患してしまったのです。
インフルエンザに罹患した人が多すぎて、協力病院でも入院を断られる始末・・・。
職員の中で罹患した者は、解熱してから5日間は出勤停止としました。
入所者の数が多く、入院させることも出来なかったため、会議室が処置室に変わりました。
大きな会議室に入所者をベッドごと移動し、点滴を行っていきました。
看護師資格のある私もこの時ばかりは、生活相談員兼看護師です。
この年は3週間も施設に通い詰めていました。
世間ではいまだに新型コロナウイルスの話題でもちきりですが、冬期になると流行する季節性のインフルエンザでは、毎年 1,000万人~2,000万人の方が罹患していると言われており、2009年に発生した新型インフルエンザでは、2,000万人を超える方が罹患したと言われています。
季節型インフルエンザ(いわゆる普通のインフルエンザの事です)は、致死率はかなり新型コロナウイルスよりも低くなっていますが(新型コロナ感染症が致死率3~4%、インフルエンザは 0.1%以下)、それでも怖い感染症であることに変わりありません。
インフルエンザは心臓や呼吸器の持病を持ってる方以外に、お子さんと妊婦さんも重症化しやすいのです(新型コロナウイルスでは、重症化しやすいのは高齢者と持病のある方とされています。お子さん・妊婦さんでは重症化しやすいという報告はありません)。
これらの患者の中で、特に抵抗力が弱い乳幼児や高齢者、循環器疾患、呼吸器疾患および免疫不全疾患等の基礎疾患を持っている場合には、インフルエンザウイルスに感染することで重症化し、場合によっては死に至ることがあると考えられています。
このため、特別養護老人ホームをはじめとして、インフルエンザウイルスに感染した場合に重症化をし易い人達を含む集団が、共同生活を送っている施設においては、施設全体の管理責任者、施設管理者と従業員、入所者や通所サービス利用者等がインフルエンザウイルスに関する正しい知識を理解し、日ごろからインフルエンザウイルスの感染予防策を講ずることで、施設内へのインフルエンザウイルスの持ち込みを防ぐことが重要となります。これは当然新型コロナウイルスにもあてはまります。
特別養護老人ホームでは、入所者に対して 24 時間 365 日生活を支えるサービスの提供を行っていますが、施設内で季節性のインフルエンザあるいは新型インフルエンザの患者が発生すると、感染は従業員にも波及し、その結果、従業員の欠勤に伴い入所者へのサービスの提供など施設としての事業の継続にも多大な影響を及ぼすことが考えられます。
この年は、急遽、ショートステイの利用者を制限し、対応を行いましたが、月額300万円もの減収になったのは言うまでもありません。
そして、今年は、新型コロナウイルスの発生により、緊急事態宣言が出され、感染拡大防止のための面会制限が行われました。
そして、厚生労働省は10月中旬、一時中止としていた高齢者施設での面会制限を緩和する方針を示し、陽性者数の推移が各地で異なることなどを踏まえ、地域ごとに判断できるようにしました。この結果、感染防止対策を講じて面会再開に踏み切る施設がある一方、高齢者の重症化リスクを踏まえて当面再開しない施設もあり、対応は分かれているのが現状です。
新型コロナの感染者が一時減った6月上旬から、県内在住者に限り面会を認めるようになった施設もあったようですが、他の高齢者施設でのクラスターが相次ぐと、再び面会を禁止している施設もあるといいます。
高齢者施設の職員は、コロナ禍の中、感染症対策の徹底と感染症対策委員会などの研修を通し、日々の業務を行っています。
当然、新規入所者やショートステイの入退所もあり、面会時のリスクなどと大して変わらないじゃないかという意見も・・・。
施設によっては、職員の県外への移動を制限しているところもあるようですし、勿論「Go To」なんか行ったらひんしゅくを買います。
そこで新型コロナウイルスに感染し、施設内に持ち込んだらとんでもないことになるのは目に見えているので行けないのです。
面会したいというご家族のお気持ちはわかるつもりです。
ですが、施設で新型コロナウイルス感染者が発生すれば利用できるはずだったその他のお客様に迷惑が掛かり、施設の存続にも影響を及ぼします。
いつ収束するかわからない新型コロナウイルス・・・施設利用者が自由に家族と面会出来る日はいつになるのでしょうか・・・。
また、高齢者施設で働く職員が、自由に旅行や飲食に出掛けられる日はいつになるのでしょうか・・・。
2021年、新しい年を迎えました。
家族との面会もままならない中、施設に入所している方々にとっても、お正月は、とても大切な時間です。
「明けましておめでとうございます!」職員の元気な挨拶ひとつで施設に笑顔があふれます。
年始から気持ちよく笑えば、そこからの一年も楽しい時間を過ごしていけそうな気がします。
今年もよろしくお願いします。