大学や高校で福祉のことを学んでなかったことに不安はなかったですか?
全くありません。医療から福祉現場に転職したときに「知らない」ことは多くありましたが、「不安」はありませんでした。反対に「知らない世界を学ぶ機会」を作ってくれたと思います。
大学や高校で福祉を学び、そのまま福祉にすすんでいたら、今頃、他分野に転職していたかも知れません。一度しかない人生ですから・・・。
転職後の40歳の時、某大学の社会福祉学科(通信課程)に編入して、社会福祉を学び、社会福祉士を取得しました。
介護の仕事で一番大切なことは何ですか?
「思いやりの心」ですかね・・・。
作業にならないような援助が大切だと思います。
排泄援助や入浴援助等、利用者のプライバシーを守る必要がある場面が多くある中、いかに利用者の立場で援助できるかと言うことです。
例えば、学校生活では教員を自ら選ぶことが出来ないように、介護現場でも利用者は介護者を選べません。人を相手にする仕事にはそれなりの責任が伴います。一人ひとりの援助者が自分の知識や技術を高めていくことだと思います。
今の仕事をやっていて、良かったこと、楽しかったと思うことは何か?
仕事を通じて多くのご利用者や福祉関係者と出会えて自分自身が成長できたこと。
三人の子供達も福祉に関心を持ってくれ、ボランティア活動を行ったり、私の仕事を理解し協力してくれたこと。
個室と4人部屋ではどちらを選ぶ人が多いのか?
半々ですかね。個室に入ると「淋しい」と言いますし、4人部屋に入ると「うるさい」と言いますし・・・。一長一短です。個々のニーズを考えたとき、全て個室が良いとは限りません。
4人部屋で良いこともあります。同じ部屋同士、仲間意識が芽生えて協力しますし、異変に気付けばナースコールを押してくれたこともありましたから・・・。
病院と特別養護老人ホームの一番の違いは何だと思いますか?
目的が違います。病院は「治療」、特養は「生活の場」です。
施設の入所者の事を「家族」と言っていましたが、心を開いてもらうために、何からやればよいですか?
まず、信頼関係を築くことじゃないですか。基本はコミュニュケーションです。
人それぞれ感じ方は違いますが、看護を辞めて後悔したことはありませんか?
全くありません。後悔していたら、とっくに医療現場に戻っています。
改善したいなぁと思うことはありますか?
「社会福祉士」や「介護福祉士」の任用が増えると良いと思います。
私1人じゃどうにもなりませんが、特別養護老人ホームや老人保健施設の生活相談員の中にも「社会福祉士」の資格を持たない方がおられます。
施設や病院のSWはすべて「社会福祉士」「精神保健福祉士」であって欲しいと思っています。
「社会福祉士」の専門性をもっと社会に理解してもらうことが大切ですが、その前に、私達「社会福祉士」が専門職らしい仕事をすることが大切なのでしょうね・・・。
90歳のおじいちゃんやおばあちゃんは手術することはあるのですか?
「白内障」や「腸閉塞」、「大腿頚部骨折」などは数年に1回あります。
慢性疾患や癌等で手術することはほとんどありません。