-ケアラダーと人材育成-
ケアラダーとは、介護職務の内容と介護業務にかかわる介護職員に求められる能力行動特性を規定したものです。
ケアラダー導入の目的
介護能力を客観的に把握し、上司と共に各段階を意識しながら自己研鑽と人材育成を目指します
導入の方法
①介護職員を新人、3年目以上、5年目以上、10年目以上で4段階に分ける。
②理想とする介護像(なりたい自分)に分けに向けて現段階の自分の知識や技術、今後期待される定義と到達目標、管理(役割・責務)、教育(自己・他者・学生)研究について話し合う機会を何度か設け、ケアラダー表を作成する。
③職員全員がケアラダーに沿う形で個人の年間目標管理スケジュールを作成し、目標達成できるように自己評価を行なう。
④年2回の上司面接を実施する。上司面接は、業績評価シートを用い、積極的な目標管理が行えている職員にはそれを承認し、達成されていない職員に対してはその要因について話し合う。
ケアラダー (キャリアビジョン)
新人 | 3年目以上 | 5年目以上 | 10年目以上 | ||
定 義 | マニュアルに沿って、あるいは部分的に指導を受けながら介護実践能力を身に付ける | マニュアルに基づき、自立して介護実践が出来る | 経験に基づいた状況を通して把握し、長期的見通しが持てる。介護実践においてケアワーカーのエルダー的役割が発揮出来る | わずかな手掛かりで状況を直感的に把握し、問題領域に的を絞ることが出来る。ケアシステムにおいて介護の立場で後輩指導が出来る | |
到達目標 |
①新人ケアワーカーチェックリスト表を利用し、基礎的介護技術、介護計画が安全で確実に実践できる ②施設の特殊性と業務内容を理解できる ③組織人としての自覚を持ち、責任ある行動が取れる ④介護に必要な知識について、マニュアルに沿って主体的に学習できる ⑤プリセプター方式により指導を受ける ⑥介護福祉士の初任者研修を受ける ⑦ICFを理解する |
①介護の優先順位を根拠に基づき判断でき、安全、安楽に実践できる ②顕在化している問題を明確にし、指導を受けながらICFの理念を取り入れ、介護課程が展開できる ③固定チームにおけるチームメンバーとしての役割が理解できる ④指導を受けながら、日々のリーダー業務が実践できる ⑤指導を受けながら、プリセプターとしての役割を果たせる ⑥疑問に対して主体的に学習し、実践に役立てることが出来る ⑦新人に関心を持ち、コミュニュケーションを図ることが出来る ⑧介護福祉士資格を取得する ⑨すべてのマニュアルを理解する |
①個別性を踏まえた介護課程が展開できる ②アセスメント能力を高め、ニーズを明確に出来る ③チームリーダーとしての役割を果たすことが出来る ④日々のリーダー業務が自立できる ⑤チームリーダー、サブリーダーとしての役割が理解できる ⑥プリセプターとしての役割を果たすことが出来る ⑦施設内外の研修を介護実践に生かすことができる ⑧研究的姿勢を持つことが出来る ⑨指導者のアドバイスを受けながら、後輩や学生の指導が出来る ⑩自チームのケアプランがすべて理解できる ⑪介護支援専門員の資格を取得する ⑫マニュアルを説明、指導できる |
①予測を踏まえた判断が出来、長期的展望に立った介護計画が出来る ②生涯担当者としてのモデルになれる ③チームリーダーの役割が果たせる ④他職種との連携を図りながら介護実践が出来る ⑤後輩や学生の指導が出来る ⑥プリセプターケアワーカーを支援できる ⑦施設内外の研修に主体的に参加し、介護実践に生かすことが出来る ⑧研修テーマを見つけて取り組むことが出来る ⑨主任者指導資格を取得する (介護福祉士会) |
|
介 護 実 践 |
アセスメント | ①包括的自立支援プログラムを活用し、意味、目的を理解した上で指導を受けながら情報収集できる |
①必要な情報を、している活動、できる活動、する活動の視点で収集できる ②情報収集した中から、必要な情報をチームメンバーに伝達できる |
①利用者の変化を予測し、家族や社会背景についても意図的に情報収集できる ②医師、介護支援専門員、生活相談員、管理栄養士、看護師、機能訓練士からも意図的に情報収集できる ③記録のレベル向上(SOAP方式) |
①ICFを基に問題領域を展開し、多角的に情報収集できる
|
分析 |
①指導を受けながら情報を元に介護上の問題領域を挙げられる
|
①優先順位に沿って、問題リストを挙げられる ②ガイドラインに沿って、問題の可能性、危険性、要因を検討できる |
①潜在問題、予測される問題についても計画が立案できる ②問題を他チームに的確に伝達できる |
①直ちに的を射た介護問題を抽出できる | |
実践 |
①指導を受けながら介護マニュアルに沿って介護実践できる ②指導を受けながら、介護手順やマニュアルに基づいて安全かつ正確に基礎的介護技術が実践できる ③指導を受けながら、介護実践が記録できる ④緊急時は指導をうけて行動できる ⑤指導を受けながらコンピューター入力が出来る |
①計画に基づいた介護実践が出来る ②利用者・家族の反応(行動・表情・言動)を見ながら援助できる ③未経験の援助技術を実施する際、資料や人的資源を活用できる ④介護実践が記録できる ⑤マニュアルに沿って緊急時の対応が出来る |
①要介護状態に合わせて、創意工夫した介護技術を用いて介護が実践できる ②介護実践をメンバーに指導できる
③自分の出来る範囲を見極め、資源を活用して介護に生かすことが出来る |
①複雑な状況を判断、理解し、利用者が満足する介護実践が出来る ②熟練された介護実践を他のメンバーに指導できる ③多様なアプローチ(照会、相談、多種カンファレンス)を組み入れて介護実践できる ④利用者の急変、緊急事態にリーダーシップを発揮し対応できる |
|
評価 | ①到達目標で掲げた介護の結果を報告し、指導を受けながら振り返り、適切かつ相応しい評価が出来る |
①利用者に行った介護の結果を簡潔、正確に報告できる ②実践した介護について、適切であったか評価する ③利用者の介護に対する反応を評価し、記録できる |
①行った介護が利用者のニーズを満たしているか評価できる ②ケアプランに基づき記録の充実を図り、統一性のあるケアの継続を展開していける |
①行った介護が質的に評価できる ②標準的経過から逸脱したケースについて、行った介護を評価できる
|
|
|
新人 | 3年目以上 | 5年目以上 | 10年目以上 | |
管 理 (役割・責務) |
①施設の特殊性と業務の流れについて述べられる ②施設内環境の不備や部品の破損などに気付き報告できる ③施設の理念や目標が理解できる ④施設の目標達成のための活動に参加できる ⑤一日の業務計画を立て、時間内に終了させることが出来る ⑥自己の職務及び健康面の管理が出来る ⑦他部門と連携が出来る ⑧感染症マニュアルに沿って指導を受けながら行動できる ⑨介護事故の怖さを理解し、安全についての確認を求めることが出来る ⑩災害発生時、指導に従い行動できる |
①環境、物品に気を配り、不備に対処できることができる ②チーム目標の達成にむけて、割り当てられた役割を遂行できる ③業務を効率よく一定時間内に終了することが出来る ④その日のリーダー業務を円滑に実施することができる ⑤施設内感染マニュアルに沿って行動できる ⑥介護事故防止のために、利用者の動きに注意を払い、安全に気を配ることが出来る ⑦緊急、災害発生時、指示を受けながら行動できる |
①利用者の長期、短期目標が把握できている ②環境や物品管理について改善につながる問題提起が出来る ③施設目標、チーム目標についてチームリーダーを補佐し、自らも主体的に行動できる ④チームメンバーと情報交換する際に、プライバシーを守ることが出来る ⑤コスト面を理解し、改善に向け意見を述べることができる ⑥緊急発生時に支援を受けながら対応できる |
①チーム目標達成のために活動を推進することができる ②介護の質を保証した業務改善について建設的な意見を述べることが出来る ③管理に関する関連部門の役割を理解し、活動できる |
|
人間関係 |
①組織人としての接遇を身に付けられる ②他者の考えや意見を良く聞き尊重できる ③自分の思いや考えを他者に伝えられる ④困っていること、悩みについて同僚やプリセプターに相談できる ⑤自分自身の感情、思考、行動の傾向を知ることをできる |
①自己のコントロールが意識できる ②自分及びチームメンバーの立場や役割を認識し、相互に肯定的なかかわりが出来る ③新人に関心を持ち、話を聞くことができる
|
①自己の感情をコントロールでき、相互理解を深めることができる ②相手を尊重した気持ちの良い人間関係を気付きながら自分の考えを話すことが出来る |
①チームリーダーとしてチームメンバーの立場や人間性を尊重し、人間関係が調整できる ②他職種との信頼関係を保ち調整できる |
|
教育 (自己・他者・ 学生)研究 |
①介護福祉士会などの職能団体に所属して自己の研鑽に努めることが出来る ②自己の介護を振り返り、出来ることと出来ないことを明確にして不足部分を学習できる ③施設の学習会に参加できる ④日常の介護実践において介護とは何かを考えることが出来る ⑤自分の学んだ知識や技術を他者に伝達、共有できる |
①学習課題を明確にし、研修会などに積極的に参加できる ②介護実践を通して、自己の介護観を表現できる ③新人に対して根拠を持って基礎的介護技術の指導が出来る ④学生の学習目標に沿った指導が出来る ⑤介護の疑問に対し、参考図書などを活用して介護で実践に生かすことが出来る ⑥介護保険制度についてサービスの種類や活用方法が理解できる |
①勉強会や研修会に参加し、その内容をチームメンバーに伝達することが出来る ②介護職で必要な知識と技術を後輩に指導できる ③プリセプターの役割を果たすことが出来る ④チーム会議などを企画、運営することが出来る ⑤実習生の課題やマニュアルを理解し、介護実践の指導が出来る ⑥介護の疑問に対して文献検索し、実践に生かすことが出来る ⑦介護保険制度について、サービスの種類や活用方法が説明できる |
①Off-JTに積極的に参加し、実践に生かすことが出来る ②プリセプターの相談役としてかかわることが出来る ③教育プログラムに指導者として企画運営することが出来る ④学生の学習ニーズを理解し、指導できる ⑤自己の専門性を目指し、研究テーマを見つけて取り組むことが出来る ⑥介護保険制度について、サービスの種類や活用方法が説明できる |
職員評価表をご活用ください。
ケアラダー(キャリアビジョン)マニュアルダウンロードはこちらへどうぞ。