えっちゃんのブログ

独居高齢者の孤独死

独居高齢者と息子 えっちゃんのブログ
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長尾修平さん(仮名:74歳)ひとり暮らし 要介護度Ⅲ・脳梗塞後遺症・C型肝炎
デイサービス(通所介護)・・・週3回
訪問介護・・・週2回(洗濯・清掃・買い物等)
配食サービス・・・週5回(夕食)

デイサービス(通所介護)の介護職員の堀尾さん(仮名)と運転手さんが長尾修平さん宅へお迎えにあがったのは8時半過ぎのことです。
堀尾さんが、ピンポン♪ピンポン♪と玄関のチャイムを鳴らしました。(2回鳴らすのが合図でした)

いつもなら、部屋の奥から「おう!」と元気な声がするはずなのに、今日に限って返答がありませんでした。長尾さんは、いつも玄関の施錠はしていませんでした。

運転手さんは、いつも通り送迎車のリフトを下ろして、乗車の準備をしていました。

堀尾さんは、いつもの雰囲気を違う状況に不安を覚え、運転手さんと一緒に室内へ入ることにしました。
「おはようございます。お部屋に上がらせてもらいますよ。」と呼びかけながら室内に入ると、食卓のテーブルの上には、食べかけの宅配弁当が置かれ、エアコンは付いたままの状態だったと言います。

宅配弁当で窒息死

となりの寝室に目をやると、ベッドに倒れこんだ状態の長尾さんを発見し声を掛けましたが返事はありません。
堀尾さんは、事業所に連絡し、運転手さんは救急車を呼びましたが、長尾さんの身体は既に冷たくなっていました。

4~5人の警察官が来て、発見当初の状況を詳しく聞かれました。
その後、長尾さんは検死に回されることになりました。

室内は現場検証が行われました。
あわせて家宅捜索も行われました。

検死の結果、長尾さんの死因は窒息死でした。孤独死です。

長尾さんは身寄りがなく、親族の情報がなかったため、警察が親族を調査をし、翌日に遠方に暮らしている息子さん(真一さん:仮名)がいることがわかりました。
しかし、真一さんは、父親である修平さんに会いに来ることはありませんでした。

真一さんは、相続をすべて放棄し、火葬の日にも来ることはなく、遺骨の引き取りは市で行い、市の無縁仏を安置することになりました。
両親が離婚しようとしなかろうと、父が死んだら相続放棄をすると決めていたので・・・とのことでした。

真一さんは、父親の事をこういったと言います。
「私の父親は人格的にも問題があり、親として、夫としての義務などをまったく果たさない人でした。簡単にいえば、父は家族に興味はなく、家にも帰らず、家族が病気になっても何もせず、生活費や子供の学業などについて経済的にも援助もしないという感じの人でした。大きな会社でそれなりの立場にいた人ですから、それなりの所得はもらっていたはずなのですが、全部父本人が飲み食い等に使ってましたので、私は母の所得で育ててもらいましたから。」と・・・。

親子の不仲

長尾修平さんは、大手機械メーカーのエンジニアでした。
28歳で2歳年下の房代さん(仮名)と結婚し、翌年には待望の子供(真一さん)を授かりました。

しかし、真一さんが大学生の時に離婚し、それ以降連絡を取り合うことはなかったと言います。
長尾さんは、離婚調停で「子どもなどいらない。俺が信じられるのは金だけ!」と豪語し調停委員に驚かれたと言います。

通常の親子関係であれば、もちろん親は子を大切に育て、子供も親を大切に思うものだと思います。
ですが、家族に愛情を注いだり、義務を果たせない親もこの世にはいるのも事実です。
家庭内のことはその家庭にいた人しか理解できないことだと思います。

近年、一人暮らし世帯の増加に伴い、自宅で一人で亡くなる「孤独死」が増えています。
なかでも、高齢者の孤独死は、統計を取り始めた平成15年と比べ2倍以上に増えています。
親が一人暮らしをしている人は、他人ごとではありません。

公的介護保険施行後、介護保険サービスだけでなく、地域の見守りサービスなども増えてきました。
郵便局でも郵便局社員が高齢者の自宅を訪問し、その様子を離れた場所に住んでいる子どもなどの家族に郵便で連絡するサービスがあります。

郵便局の見守りサービス

他にも、電話での毎日の体調確認をしたりするなど、便利なサービスが徐々に増えています。

高齢者見守りサービスには、自宅に空調センサーや施錠確認センサー、非常ボタンなどを設置し、非常時には現場へ駆けつけ確認してくれるものなどがあります。離れて暮らす家族にメールなどで様子が連絡されるサービスもあります。

しかし、これらの「見守りサービス」は、言ってみれば孤独死を防ぐための最後の命綱であり、日々の孤独を埋めてくれるものではありません。ご近所付き合いがなかったり、話す相手がいなかったりする場合、「なんとかギリギリで発見してもらうための手段」だと思います。

また、周囲に迷惑をかけずに人生を終わるための準備をする「終活」が広がりを見せています。
「終活」とは、「人生の終わりのための活動」の略です。
人生の総括を行い、人生の最期を迎えるにあたっていろいろな準備を行うことを意味する言葉です。
具体的には、身の回りの整理、財産の相続を円滑に進めるための計画、葬儀や墓の準備などが主に行われています。

終活は自分の死後、周りの人に迷惑をかけないようにという気持ちで取り組まれる方も多いのですが、自分が健やかな気持ちで過ごすため、自分が充実した人生を送るための「終活」こそが必要なのではないでしょうか。

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