施設におけるチーム(ユニット)ケアの実際 ―社会の求める介護を提供するために―
チームケアの目的
利用者に責任を持って継続した質の高い介護を実践する
個々の職員のやりがい感、自己実現を目指す
介護職員の育成(教育)とその成果
チームケアの5つの定義
- リーダーとメンバーを一定期間(1年)固定し、役割と業務を明確にしてチーム活動する。
- 固定チームは年間目標を持つ。
- 利用者グループを継続して持つ。
- 年間チーム活動と日々のチーム活動があり、応援機能を持つ。
- 個々の利用者には継続した担当者(受け持ちケアワーカー)が存在し、固定チームが支える。(※介護職員の自立)
チームケアは、一人ひとりの介護職員のやりたい介護をチームで支えるシステムです。そこで、まず、チームメンバーの能力差(介護経験、人生経験、教育背景の違いなどの全て)を認めるのが基本となります。また、一人ひとりの思いを大切にし、一人ひとりが自立していくこと(自立に向かうこと)がこの介護方式の基礎になります。
チーム活動
- チーム目標と、年間活動計画の立案・実施・評価を行う。
- 個々の利用者に対し、継続して責任を持つ担当者を決める。
- 担当者が個々の利用者に対して計画した施設ケアプラン(ケアプラン策定会議で決定)を他のチームメンバーが援助する。
- 定期的なチーム会議の開催。
- 状況に応じて他チームに応援機能を持つ。(応援者は3年以上の経験を有するもの)
- チーム全体で新入職員を育てる。
- 新入職員には1年間を通じてプリセプターを付ける。
- 各チームにはチーム看護師が存在する。
- チーム看護師は、チーム介護職員の医学的知識等の教育を担う。
- チーム看護師は、チーム内の利用者の健康管理を担う。また、状況に応じて他チームの看護師への応援機能を持つ。
チーム介護導入の実際
介護チーム編成
※入所から退所まで関わる受け持ち担当者をチームリーダーが主任と検討し、各チームのカンファレンスで決める。
役割や業務内容の成文化(別紙)
主任をはじめ、固定チームのリーダー、サブリーダー、メンバーの役割と業務を明確に成文化して、それぞれの役割の範囲で意思決定の出来る権限を与え、チーム活動を推進していく。
勤務計画表の作成
1)基本的勤務体制
各チームの利用者に対し、24時間継続した介護を実践するために、日勤、早番、遅番、 夜勤者は、各チームから出勤し、その勤務時間は、各チームの利用者のニーズ(ADL、身体状況、行動障害)に合った勤務時間とする。
2)勤務計画表作成時の留意点
- 日勤では各チームにリーダー経験者または日々のリーダーが出来る人がいること。
- 夜勤は4名(各チーム1名)中、1名はリーダー経験者。
- 公務優先とする。
- 夜勤の翌日は休日とする。
- 勤務交代は、他のメンバーとのバランスを考えて行う。
- 新人のオリエンテーション夜勤及び初回夜勤は、主任、副主任と組み合わせる。
チームケアで得られる成果
■受け持ちの利用者のベットサイドに行く機会が増えたことで、奥深い情報がとれ、利用者の把握がしやすくなった。また、担当利用者への責任感を持つようになったことで、意識的に問題を探すようになった。このことによりケアプランの立案・評価・修正がしやすい。
■介護計画が具体的に立案され、評価・修正がきちんと出来る様になったことで、継続した介護がしやすくなった。また、このことは介護内容の充実レベルアップにもつながる。
■固定した利用者を固定した職員で介護を行い、医学的な管理もチーム看護師が責任を持ち行うことで、利用者や利用者家族との信頼関係が出来る。
■担当利用者を持つことにより、メンバー一人ひとりに責任感が芽生え、意欲を持って主体的に取り組むことが出る。このことは、リーダーシップの育成、仕事へのやりがいにつながる。
■一人ひとりのメンバーの特性がよく見えるようになり、これにより、適材適所に人員の配置ができ、一人ひとりに能力の発揮するチャンスを与えることが出来る。
■所属するチームのスタッフ間に後輩を育成しなくてはという意識が芽生え、メンバー間に支援しあう体制が出来、チームワームも育つ。
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